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ファンダメンタルズ分析の種類について解説

今回の記事では、外国為替市場を動かしている要因の一つである「ファンダメンタルズ分析」について話していく。私は、普段テクニカル分析のみで分析をしているが、それが何故上手く行っているのか。

答えは簡単で、ファンダメンタルズ分析にも長けているからだ。矛盾しているではないかと感じるだろうが、ファンダメンタルズ分析もテクニカル分析も一通りの知識や実践経験から、ファンダメンタルズ要素が織りなすチャートパターンを知っている。

そのため、テクニカル分析のみ使っていたとしても、ファンダメンタルズ要素になり得るニュースを見た時に、瞬時にしてチャートに落とし込んで考えることができる。このことから、テクニカル分析のみでも十分だと感じているのである。

正直、どちらを使っても勝率や利益に大差はないだろうと感じるのが、このFXと言う金融商品である。しかし、有効になり得るトレーディングを創造する前に、外国為替市場を動かす要因について理解することが重要である。

ファンダメンタルズ分析の種類

ファンダメンタルズ分析についての説明は、この記事にも書いてあるので割愛させて頂くことにする。

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ファンダメンタルズ分析は、需要や供給に影響を与える経済、社会現象や政治と言った要因に目を向ける。ファンダメンタルズを思考判断の素材にしてトレーディングする投資家は、

・経済成長率

・金利

・インフレ率

・失業率

などマクロ経済指標に目を向けている。しかし、ビリオネアになっているファンダメンタルズ派トレーダーは、一つの材料で基準を作り判断を下すことはしない。それらを全て複合的に思考判断し、実際のトレーディングに落とし込んでいる。

そのため、ファンダメンタルズ派のトレーダーは、いつでも社会現象や政治経済に変化を及ぼす情報や材料に精通していなければならない。

特に、複合的判断が出来なければ、ファンダメンタルズを実際のトレーディングに落とし込むのは難しいことを理解して欲しい。

事例

例えば、FRB(連邦準備制度理事会)の決定事項が、世界経済において重要であったとしても、市場自体が既に金利の動向を織り込んでいれば、世界で最も取引されるEURUSDであったとしても、微々たる反応しかしない可能性が十分にある。

そのため、ファンダメンタルズ派のトレーダーは経済状況を幅広く理解しなければならないことを、ここで前述しておく。

FRB(Federal Reserve Board:連邦準備制度理事会)は、アメリカの中央銀行制度の最高意思決定機関のことで、日本における日本銀行に相当する機関。
FRBが定期的に開催する会合には、FOMC(Federal Open Market Committee:連邦公開市場委員会)があり、アメリカの金融政策等を決定している。当会合で決定されたことは市場にも影響が出やすいため、会合直後にはその内容に注目が集まる。

FRBで決定された内容は、アメリカに12ある連邦準備銀行が分担しておこなっており、これは日本とは異なりアメリカでは州の独立性が強いことから、中央銀行の機能を分散させることで国の金融制度をうまく機能させることなどが背景としてあげられる。FOMCへは各連邦準備銀行の総裁が持ち回りで選出され、参加してる。

相場の動く根本

相場価格は、通貨の需要と供給に基づいて上下する。その上下が、両替(実需筋)なのか、ヘッジ(回避)なのか、投機(投機筋)なのかに関係なく、実際の相場は通貨の需要に基づき動く。通貨が供給過多ならば、価格(価値)は下がることになる。需要と供給は、未だ見えぬ未来の価格変動を予測するために、決定的要因になることは、間違いない。

しかし、ファンダメンタルズ派のトレーダーも思うように相場変動を捉えきれていない。理由は単純明快で、通貨の需要供給には、数多くの要素が影響するからだ。その要素が、資本移動、貿易動向、投機筋、ヘッジである。

資本移動と貿易動向

資本移動、貿易動向はある一定期間における通貨の総需要量を示す国際終始の構成要素となっている。理論上では、国際収支がゼロであれば通貨の価値自体に変動はない。

しかし、国際収支が赤字の場合、資本が当国の経済に流入するよりも早い速度で流出していることを指している。結果、その国の通貨は下落することになる。

事例

2003年-2005年までの間に、ドルは実効為替レートで20%以上下落した。理由としては、当時の米国が貿易赤字を慢性的に抱えており、他国からの資本流入が赤字を埋めることができるほど大きくなかったからである。

ファンダメンタルズ要素①「資本移動」

資本移動とは、資本投資のために売買された通貨量を指す。資本収支が黒字と言うことは、諸外国から流入した直接投資や証券投資の額が、国内から国外に流出した額を上回ったことを意味する。逆に収支が赤字ならば、外国への直接投資や証券投資の額が、国外から国内へ流入した金額を上回ってしまったことを表す。

資本収支

黒字=外国から流入した額(直接投資+証券投資)>外国に流出した額

赤字=外国から流入した額(直接投資+証券投資)<外国に流出した額

資本移動には「直接投資」と「証券投資」の2種類が主に存在する。証券投資に関しては、ここから更に「株式市場」と「債券市場」に分けられるので、一つずつ説明していく。

直接投資

直接投資は、不動産投資、設備投資、株式取得と言った、外国企業からの投資のことを指す。これら全ての活動は、自国通貨を売り、相手国通貨を買う必要があるため、為替相場に変動をもたらす。特に国際的なM&A(企業の買収、合併の総称)が株式交換ではなく、通貨主体で実行される場合は、大きな影響を及ぼす。

※例えば、日本の最大手自動車メーカーTOYOTAが、アメリカの企業テスラに現金で買収されることになった場合、買い手のテスラは自国通貨ドルと、日本円を両替しTOYOTAを購入することになる。当両替は、ドルを売り、円を買うことになるため、USDJPYの相場で言うと下落をもたらすキッカケになり得る。

こうした資本の流出入は、各国の財政状況や経済成長に伴って変化していく。諸外国から投資される国になることができれば、その分自国通貨が買われ国としては利益を上げることができるため、発展途上国のように法整備等を実施し直接投資を促している国もある。

直接投資を促した事例

中国は過去、WTO(世界貿易機関)に加盟した際に、今まで規制してきた外国投資法を緩和した。これにより、日本を始め世界中の企業が、中国の人口が多く安い労働力の収益機会に魅力を感じ、中国への投資に走ったのだ。外国為替市場の観点で見れば、外国企業は中国へ投資するために、自国通過を売りRMB(人民元)を買う必要があったのだ。

株式市場への証券投資

電子取引が普及したことにより、資本移動の自由度は高まり世界中の株式市場へ投資することが容易になった。そのため、世界のどこかで株式市場が上昇していれば、誰もがその好機を地理的制約を受けることなく得られることになった。

結果として、株式市場とその国自身の通貨に強い相関が見られるようになったのである。

アメリカの株式市場が上昇すれば、好機を掴むために世界中からドルが買われることになる。逆に株式市場が下落すれば、その国の投資家は国内市場の保有株を売却し、国外での投資機会を狙う。

事例

世界中では、近年株式は債券よりも人気を増している。実際にアメリカ外における米国債と米国株の取引比率は、10:1で米国債が非常に人気であった。しかし、2000年に入る頃には2:1にまで変化した。更に、1994年-1999年までの期間だけ見ると、ダウ平均株価とEURUSDの相関率は、80%を超えた。

1991年から1999年までは、米国株式の人気に急速に火がつき、ダウ平均株価は300%上昇、ドルインデックスは30%上昇した。

そのため、為替トレーダーは、短中期の株式市場に対する直接投資を予測するため、世界中の株式市場に注視することになった。勿論バブルが弾けて、相関は大きく弱まったが現在も何かしらの関係があるため、我々為替トレーダーは、トレードチャンスを逃さないために、世界中の株式市場から目を離してはいけない。

債券市場への証券投資

株式市場同様、債券市場も為替相場と相関関係にある。世界経済が不安定な状態になると、安全性の高い債券はいい投資対象になる。債券には格付けがあり、格付けの高い債券を発行している国であれば、諸外国からの投資を呼び込むことができる。債券を買うには、まずは債券を発行している国の通貨を買わなければならない。

債券市場への投資の決め手となるものは下記の通りである。

・短期国債の利回り

・長期国債の利回り

・米国10年債と外国債券の利回りの差(金利差)

なぜ、上記に注目すべきかは単純である。投資家は皆、より高い利回りの資産を求めて国から国を跨ぎ、資本移動させる傾向にあるからだ。アメリカ資産の利回りが高ければ、アメリカの金融商品への投資が進む。結果としてドルが買われることになるのだ。

逆に、米国の利回りが最も低ければ、投資しようなどと言う発想にはならない。多くの投資家は、外国からの短期資金の流入状況を評価付けるに当たり、2年債のような短期の利回りを見ている。

国債の利回り以外では、FFレート(フェデラルファンドレート)も、ドルの動向を伺うのに頻繁に使われている。理由としては、FFレートの誘導目標に基づき値段が付けられてくからである。

FFレート=フェデラル・ファンド(Federal Funds)

連邦準備銀行(アメリカの中央銀行)に預け入れる無利息の準備金(フェデラル・ファンド)が不足している銀行が、余剰の出ている銀行に無担保で資金を借りるときに適用される金利を指す。

FFレートを決定する市場を、フェデラルファンド市場と言い、日本ではコール市場と同様なものである。

FFレートは、FOMC(連邦公開市場委員会)の会議で、連邦準備銀行の準備金の需給を調整し、FFレートの誘導目標を変更することで、金融政策の決定をしています。

欧州圏であれば、EMMI(欧州マネーマーケット協会)が公表するEURIBOR(欧州銀行感取引金利)先物は、欧州圏における未来の金利予想を示すものであり、EUの未来動向を示唆している。

ファンダメンタルズ要素②「貿易動向」

貿易の動向は、国債取引の基準になる。ある国の投資環境が、その国の通貨価値を変動させるように貿易動向は、その国の実質的な貿易収支を表している。外国からモノを買うよりも、外国にモノを売る方が多い国は、貿易収支で言うと黒字になり「純輸出国」と言われる。国際貿易観点からすると、純輸出国の通貨は、売られることよりも買われることの方が多いため、「上昇」しやすい傾向にある。

貿易動向は、為替相場に影響を及ぼす。純輸出国のモノ・サービスを購入する場合、まずはその国の通貨を買わなければならないから、上昇しやすい。

逆に、純輸出国でなければ、外国にモノ・サービスを売るよりも、外国から買う方が多いため貿易赤字になる。純輸出国でなければ、その国の通貨は買われにくく、売られやすいため「下落」しやすい傾向にある。外国のモノ・サービスを買うためには、自国通貨を売り、相手国の通貨を買わなければいけないから。

他で何か補うようなデータがなければ、通貨価値を押し下げる要因になる。また、貿易赤字を食い止めるためには、通貨安にしなければならない背景があるため、貿易赤字▶︎通貨安になりやすい。貿易黒字▶︎通貨高になりやすい、と言うことを覚えておくと良い。

イギリスが、好景気・株式市場が好調。日本が、景気低迷・投資環境乏しい。とする。

その際に、日本の投資家は自分たちが保有している「日本円」を売却し、景気が好調なイギリス経済に投資機会を求めるため、ポンドを購入する。すると、資本の移動は「日本▶︎イギリス」になる。円の需要が減少し、ポンドの需要が高まるため、円は、ポンドに対して価値は劣ることになる。したがって、「GBPJPY」は上昇することになる。

このことから、デイトレーダー・スイングトレーダー問わず各国の経済を把握していることは非常に強い武器になる。

最後に

ファンダメンタルズの、根本について深堀をして話してきた。現在ファンダメンタルズ分析を一切取り入れていない方あっても、一度このような根本から考えてみるのはどうだろうか。1年間に数回来る確定的なトレードの機会に気づくことができるようになるかもしれない。為替取引に関わる知識への追求は、終わることなき航海である。これからも共に戦おう。

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棒グラフ仙人
DAILY FX オーナー 投資家4年目にして、月間利益700万円超えを実現。今では多くのトレーダーを採用しプロップデスクを構える。金融免許の取得し、プロップデスクをファンドにするのが目標。座右の銘:独立不羈